次元について考えていると、ふと複素数が気になりました。
実数は数直線上に並んでいるので、1次元です。
ところが、
となる i を使って複素数を考えると、「複素平面」という2次元の世界が現れます。
ここで不思議なのが、i は変数ではないということです。
変数が増えたわけではないのに、なぜ1次元だった数直線が2次元の複素平面になるのでしょうか。
実数は1つの数で位置を指定できる
実数 は、1つの数で数直線上の位置を決めることができます。
たとえば、
なら、数直線上の「2」の位置です。
つまり、
という1つの値が決まれば、位置も決まります。
実数を数直線上の点として考えれば、必要な座標は1つです。
複素数は2つの実数で位置を指定する
ところが複素数は、
と表します。
たとえば、
なら、複素平面上では、
- 実数方向に
- 虚数方向に
進んだ位置として表すことができます。
つまり、1つの複素数を表すために、
という2つの実数が必要になります。
実数では、
という1つの座標で位置を指定できたものが、複素数では、
という2つの座標で位置を指定するようになります。
だから数直線ではなく、平面として表せるわけです。
けど、i は変数ではない
ここが面白いところです。
複素数は、
と書きますが、i が自由に変化しているわけではありません。
i は、
を満たす決まった数です。
変化するのは、
のほうです。
では、i は何をしているのでしょうか。
複素平面では、i を実数方向とは異なる方向として捉えることができます。
実数だけなら、数直線上の位置を1つの座標で表すことができます。
ところが複素数では、
と表すことで、
- 実数方向
- 虚数方向
という2つの独立した座標軸を使って位置を表せるようになります。
i 自体が変数として動くわけではありません。
i という実数とは異なる方向があることで、その方向にどれだけ進むのかを表す b という座標が必要になる
と考えると分かりやすくなります。
i の累乗を見ると「回転」が見えてくる
i の累乗を並べてみます。
つまり、
と繰り返します。
複素平面上では、
と移っていきます。
これは、複素数に i を掛ける操作が90度の回転に対応しているためです。
すると、
も少し違って見えてきます。
に i を1回掛けると、
さらにもう1回掛けると、
となります。
つまり、90度の回転を2回行うと180度の回転になる。
その関係が、
として表れていると見ることができます。
次元とは「変数の数」だけではない
ここまで考えると、次元について少し違った見方ができます。
次元というと、
変数が何個あるか
と考えると分かりやすい場合があります。
しかし、より根本では、
位置を指定するために、独立した座標がいくつ必要なのか
と考えることもできます。
実数なら、数直線上の位置を、
という1つの座標で指定できます。
複素数なら、複素平面上の位置を、
という2つの座標で指定します。
この2つの座標は、
- 実数方向の座標
- 虚数方向の座標
に対応します。
ここでいう「方向」とは、右・左や上・下という向きの数ではなく、互いに独立した座標軸という意味です。
だから、
という1つの座標だったものが、
という2つの座標になる。
そして、数直線だったものが複素平面になります。
まとめ
i は変数ではありません。
それなのに、実数から複素数へ広げると、
という1つの実数で表せていたものが、
となり、
という2つの実数で表されるようになります。
これは、i 自体が変化するからではありません。
複素平面では、i を実数方向とは異なる方向として捉えることができ、その方向の位置を表すために b という座標が必要になるからです。
実数では数直線だったものが、複素数では複素平面になる。
さらに、
という i の累乗を見ると、複素数に i を掛ける操作が90度の回転として表せることも分かります。
次元を決めているのは、単純に変数の数ではない。
その世界で位置を指定するために、独立した座標がいくつ必要なのか。
そう考えると、「i は変数ではないのに、なぜ次元が増えたように見えるのか?」という不思議も、少し見えやすくなるのではないでしょうか。
※厳密には、ここでいう「複素数は2次元」という表現は、複素数を実数を基準にして見た場合の話です。


コメント