数学には「次数」「元」「次元」という似た言葉があります。
たとえば、
は2次関数です。
一方、
は2元1次方程式です。
さらに、この方程式のグラフは1次元の直線になります。
「2次」「2元」「1次元」。
似た言葉が並ぶので混乱しやすいですが、実はそれぞれ見ているものが違います。
大まかに整理すると、
- 次数:多項式に含まれる各項の次数のうち、最も高いもの
- 元:方程式に含まれる未知数の数を表す
- 次元:独立した自由度の数を表す
と考えると分かりやすくなります。
特に重要なのは、次数と次元は別の概念であり、次元はむしろ元や自由度と関係が深いということです。
次数とは何か
まず次数です。
たとえば、
は1次関数、
は2次関数、
は3次関数です。
多項式では、含まれる各項の次数のうち最も高いものを、その多項式の次数とします。
次数は、グラフの形や性質にも関係します。
しかし、ここで重要なのは、次数が上がってもグラフの次元が上がるわけではないということです。
たとえば、
も、
も、
も、すべて と の関係を表しています。
そのため、どれも という2次元平面に描かれます。
そして、グラフそのものはすべて1次元の曲線です。
つまり、
次数はグラフの形や性質に関係するが、次数と次元は別のものである
ということです。
元とは何か
「元」は、方程式に含まれる未知数の数を表します。
たとえば、
なら未知数は の2つなので、2元1次方程式です。
一方、
なら未知数は の3つなので、3元1次方程式です。
ここで、それぞれの解をグラフとして考えてみます。
2元の場合は、
という2次元平面を使います。
3元の場合は、
という3次元空間を使います。
つまり、未知数の数が増えると、それらを座標として考える空間の次元も増えていきます。
このように、元(未知数)の数は、解を考える座標空間の次元と関係しています。
次元とは「独立した自由度の数」
では次元とは何でしょうか。
直感的には、
次元とは、図形上の点を指定するために必要な、独立した自由度の数
と考えることができます。
言い換えると、「自由に動ける方向の数」と考えることもできます。
まず 軸だけを考えてみます。
とすると、 は完全に決まっています。
自由に動かせるものはありません。
そのため、解は0次元の「点」になります。
次に、
を考えます。
を自由に決めれば、それに対応して が決まります。
自由度は1つなので、グラフは1次元です。
実際、 平面の中には1次元の直線として現れます。
さらに、
ならどうでしょう。
今度は と を自由に決めることができます。
その2つを決めれば、 が決まります。
つまり自由度は2つです。
そのため、グラフは3次元空間の中に2次元の面として現れます。
「変数の数 − 制約の数」で考えてみる
今回扱っているような単純な例では、次元を次のように考えると分かりやすくなります。
たとえば、
なら変数は の2つです。
そこに1つの独立した等式があるため、
となり、解は1次元になります。
同様に、
なら、
なので2次元です。
さらに4つの変数を使って、
とすれば、
となります。
これは4次元空間の中に存在する3次元の超平面です。
単純な例を並べると、次のようになります。
| 等式 | 座標空間 | 解の次元 | イメージ |
|---|---|---|---|
| 1次元 | 0次元 | 点 | |
| 2次元 | 1次元 | 直線 | |
| 3次元 | 2次元 | 平面 | |
| 4次元 | 3次元 | 超平面 |
このように見ると、
という次元のつながりが見えてきます。
ただし、
が、あらゆる方程式についてそのまま使えるわけではありません。
ここでは、独立した通常の等式による制約を考える場合の、次元を理解するための直感として捉えてください。
普段見ている関数のグラフは「1次元」
ここで、普段よく見る関数のグラフについて考えてみましょう。
たとえば、
のような関数は、 の2次元平面に描かれます。
しかし、グラフそのものが2次元なのではありません。
を1つ決めれば が決まるため、自由度は1つです。
つまり私たちが見ているのは、
2次元平面の中にある1次元の曲線
ということになります。
これは1次関数でも2次関数でも、さらに高い次数の関数でも同じです。
たとえば、
と、
ではグラフの形は大きく違います。
前者は直線、後者は放物線です。
しかし、どちらも という1つの値を自由に動かすことでグラフ上の位置が決まるため、どちらも1次元の図形です。
2変数関数では「面」が現れる
次に、
を考えてみます。
今度は を自由に決めることができます。
そして、その組み合わせによって が決まります。
つまり、
という2変数関数です。
これをグラフとして描くには、
という3次元空間が必要になります。
自由度は の2つなので、グラフそのものは2次元です。
したがって、3次元空間の中に2次元の面として現れます。
たとえば、
なら平面になります。
一方、
なら曲面になります。
ここでも式の次数や形が変わることで、平面から曲面へとグラフの形は変化します。
しかし、どちらも自由度は2つなので、グラフそのものは2次元です。
次数と次元は別物
ここまでを整理すると、「次数」と「次元」はかなり違う概念だと分かります。
たとえば、
は2元1次方程式で、その解は1次元の直線です。
一方、
は2元2次方程式ですが、その解はやはり1次元です。
次数は1次から2次へ変わり、解の形も直線から円へ変わりました。
しかし、次元はどちらも1次元です。
逆に、
から、
へ変えるとどうでしょう。
次数はどちらも1次のままです。
しかし、未知数が2つから3つに増えたことで、
だった自由度が、
になります。
その結果、解は1次元の直線から2次元の平面になります。
つまり、
と考えることができます。
そして自由度を考えるうえでは、「次数」よりも「元」、つまり未知数の数のほうが次元と直接的な関係を持っています。
元・次数・次元を整理する
最後に3つを整理してみましょう。
次数
多項式に含まれる各項の次数のうち、最も高いものによって決まります。
たとえば、
は2次です。
次数はグラフの形や性質にも関係します。
元
方程式に含まれる未知数の数です。
なら の2つなので、2元です。
次元
図形上の点を指定するために必要な、独立した自由度の数です。
では、 の2つの未知数が1本の等式によって関係づけられています。
この場合、解の自由度は1つとなり、円周という1次元の図形になります。
同じ式でも、
わけです。
ここに「元」「次数」「次元」の違いがよく表れています。
まとめ
次数・元・次元は名前こそ似ていますが、それぞれ見ているものが違います。
- 次数:多項式に含まれる各項の次数のうち、最も高いもの
- 元:方程式に含まれる未知数の数を表す
- 次元:図形上の点を指定するために必要な、独立した自由度の数を表す
特にグラフとして考えると、
は1次元の座標軸に現れる0次元の点、
は2次元平面に現れる1次元の曲線、
は3次元空間に現れる2次元の曲面、
という対応が見えてきます。
つまり、次数と次元は別物であり、次元はむしろ元や自由度と関係が深いのです。
普段何気なく見ている関数のグラフも、
「何次関数なのか」
だけでなく、
「何次元の空間に、何次元の図形が現れているのか」
と考えてみると、次数・元・次元の違いが直感的に見えてきます。


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