導入|「大きい数」が実感できなくなった時代
一万、一億、一兆。
私たちは、桁の大きな数字を日常的に目にする時代に生きています。
けれど、その大きさを本当にイメージできているかと言われると、少し怪しい。
数字としては理解できても、どれほど大きいのかという感覚は、どこか抜け落ちているように感じます。
そこで起きるのが不思議な現象です。
数字が大きくなるほど、数字が軽く感じられてしまう。
「一兆円」と言われても、心のどこかで「大きいね」で止まってしまう。実感が伴わないまま、言葉だけが先に滑っていく。
そこで今回は、位取り記数法を体感できるアプリを作ってみました。
目的はシンプルです。
大きい数を、もう一度「大きい」と感じること。
まず体験|位取り記数法アプリ
説明の前に、まず触ってみてください。
下のアプリでは、進数を切り替えながら、数字が増えていく様子を眺めることができます。
速度はゆっくりめ(10cps程度)がおすすめです。
桁が切り替わるまで、ただ待ってみてください。
位取り記数法とは「重みの違う桁」の集まり
私たちが使っている数の表し方は、位取り記数法です。
1の位、10の位、100の位……と、桁ごとに重みが決まっています。
この仕組みはとても合理的ですが、
桁が増えても見た目のルールがあまり変わらないため、
数の大きさが実感しにくいという側面もあります。
1000と10000の差は、紙の上では「0がひとつ増える」だけ。
けれど実際には、そこには10倍という大きな隔たりがある。
このアプリは、その隔たりを「待ち時間」として見せる試みです。
進数を変えると、進み方が変わる
進数を切り替えると、同じ「+1」でも、数字の進み方がまったく変わります。
10進数|人間にとって自然な速さ
10進数は、ほどよいテンポで進みます。
変化を追いやすく、待ちすぎることもありません。
普段私たちが10進数を使っている理由が、感覚的に見えてきます。
2進数・16進数|コンピュータの世界
2進数では、すぐに桁が切り替わります。
とても忙しく、人間には少し落ち着かない。
16進数は、その中間。
情報量をまとめて扱うための進数だということが、動きから伝わってきます。
60進数|時間の進み方に似てくる
60進数にすると、数字の進みが一気にゆっくりになります。
秒や分を数えているときの感覚に、どこか似ています。
なぜ時間が60を基準にしているのか。
理由を知らなくても、「なるほど」と思える感触があります。
12進数|分けやすさの感覚
12進数は少し不思議です。
速すぎず、遅すぎず、どこか扱いやすい。
割り切れの良さが、数字の動きから自然と伝わってきます。
数を時間に変えると、大きさが戻ってくる
数の大きさを実感する一番簡単な方法は、
数を時間に置き換えることかもしれません。
10cpsなら、100は10秒。
1000は100秒。
待てる数は、実感できる数です。
待てなくなったところから、数字は再び抽象になります。
このアプリは、その境目を探るためのものでもあります。
まとめ|位取り記数法は「待ち時間」の設計だった
位取り記数法は、単なる表記ルールではありません。
どれくらい待てば、次の桁に進むのか。
待ち時間の設計でもあります。
10進は追いやすい。
2進はせわしない。
60進は時間に似る。
100進は重い。
そう考えると、進数は数学というより、
世界との付き合い方だったのかもしれません。
このアプリが、
大きい数をもう一度「大きい」と感じるきっかけになれば嬉しいです。


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