AIで「実スケール」の地球と月を描いてみた
地球と月の関係について、私たちは数えきれないほどの図やイラストを見てきました。
けれども、それらの多くは「分かりやすさ」を優先するあまり、 距離や大きさが大きく誇張されています。
今回は、その常識をいったん脇に置いてみました。
地球と月の大きさ・距離・周期をすべて実スケールでそろえた3Dモデルを、 AIとJavaScriptを使って描いてみたのです。
すると、知っているはずの天体が、 どこか初めて見るもののように感じられました。
基礎解説：実スケールとは何か
なぜ多くの図は「月が近く」見えるのか
学校教材やWeb解説では、月はしばしば大きく、地球のすぐそばに描かれます。 これは理解を助けるための意図的な省略ですが、 同時に距離感覚を大きく歪める原因にもなります。
実際の数値を並べると、関係は一変します。
- 地球半径：約 6371 km
- 月半径：約 1737 km
- 地球–月の平均距離：約 384,400 km
地球の直径と比べると、月は驚くほど小さく、そして遠い存在です。 このスケール感は、文章や静止画だけではなかなか実感できません。
「動かす」ことで初めて見える関係
そこで今回は、距離を縮めたり、月を大きくしたりすることは一切せず、 次の要素だけを正確に入れたモデルを作りました。
- サイズ比と距離比
- 地球の自転（1日）
- 月の公転（約27日）
- 月の自転同期（常に同じ面を向ける）
- 地球の地軸傾斜（約23.4°）
装飾を極力削り、「構造」だけを残す。 そのための3Dモデルです。
実スケールの地球–月モデル
以下が、今回作成した実スケールの地球–月モデルです。
マウス操作で自由に視点を動かしてみてください。
- 左ドラッグ：回転
- ホイール：ズーム
- 右ドラッグ：平行移動
北極側から見下ろす視点が初期状態になっています。
最初に感じるのは、おそらく 「月が思っていた以上に小さく、遠い」という違和感だと思います。
けれども、その距離にもかかわらず、 月は確かに地球と結びつき、同じリズムの中で動き続けています。
応用・背景：見えてきた意外な事実
月は「自転していないように見える」理由
多くの人は、月について 「自転していない」という印象を持っています。
しかし宇宙基準で見ると、月は 約27日に1回、確かに自転しています。
それが地球からは見えないのは、 公転と自転の周期が一致しているためです。
モデルを動かしてみると、 「回っていないように見えること自体が、回っている証拠」 であることが直感的に分かります。
地球は、思っている以上に速く回っている
月が地球を1周する間に、地球は約27回も自転します。
この差は、数値として知っていても、 同じ空間で同時に動かしてみるまでは実感しにくいものです。
地球は高速で回る構造体であり、 月はゆっくりと同じ面を向け続ける相棒のような存在です。
社会的意義・未来：なぜ今、実スケールなのか
AIは「説明」より「体験」を作れる
AIというと、文章生成や画像生成が注目されがちです。 しかし今回強く感じたのは、 理解のための空間そのものを即座に作れるという点でした。
数式や理論の前に、 まず「感じる」ためのモデルを置ける。 これは教育や学びの入口を大きく変える可能性があります。
誇張しないからこそ残る印象
派手な演出は、瞬間的な理解を助けます。 けれども、長く残る感覚は、 むしろ静かな違和感から生まれることがあります。
「月って、こんなに小さかったのか」
「こんなに離れているのに、関係は続いているのか」
その問いが残ること自体が、学びの価値なのだと思います。
まとめ：削った先に見えた美しさ
今回の実スケール地球–月モデルは、 情報を足すのではなく、徹底的に削ることで完成しました。
- 模様を消し
- 軌道線を消し
- 経線を1本だけ残す
その結果、残ったのは 「回る」「離れている」「それでも結びついている」という、 とてもシンプルで、しかし深い構造でした。
実スケールで眺めることで、 地球と月は「知識」から「関係性」へと変わります。
このモデルが、 宇宙を考えるときの静かな基準点になれば嬉しく思います。
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