プランク定数 h は、量子力学でとても重要な役割をもつ定数です。値は
\( h = 6.62607015 \times 10^{-34}\ \mathrm{J \cdot s} \)
という非常に小さな数で、この小ささによって「量子の世界は小さな単位で区切られている」という性質が生まれます。
1. 式 \( E = hf \) が示していること
光のエネルギーは、その光がもつ周波数 \( f \) に比例して大きくなります。これを表しているのが次の式です。
\( E = hf \)
ここでの E は「光子1個がもつエネルギー」です。周波数が高い光ほど光子1個のエネルギーが大きく、周波数が低い光はエネルギーが小さくなります。この式は、光が“粒のような単位でエネルギーをやり取りする”ことを教えてくれています。
2. 光のエネルギーは小さな段差で変化します
光子が1個あるときのエネルギーは
\( E_1 = hf \)
光子が2個あるときは
\( E_2 = 2hf \)
光子が \( n \) 個なら
\( E_n = n hf \)
のように、整数倍の形で増えていきます。光子の数は「1個・2個・3個…」と数えられるもので、中間の「1.5個」や「0.7個」のような状態は存在しません。そのため、光のエネルギーも連続ではなく、小さな“段差”で変化します。
3. 光子が1つ増えるときのエネルギー差
光子が1つ増えるときのエネルギー差は、つねに次のようになります。
\( E_{n+1} – E_n = hf \)
光子1個ぶんの増加量が一定であるため、プランク定数は“エネルギーの段差を作る基本単位”として働いています。これが、量子の世界の特徴である「量子化」を生み出しています。
4. 周波数によって段差の大きさが変わります
同じ式 \( E = hf \) でも、周波数の違いによって段差の大きさは変わります。
- 周波数が高い光(X線・γ線など)では段差が大きく、高いエネルギーになります。
- 周波数が低い光(電波など)では段差が非常に小さく、連続に近い見え方になります。
このように、量子の段階的な性質はどの周波数でも存在しますが、その段差の大きさによって“見える世界”が変わってきます。
5. プランク定数が教えてくれる世界の姿
プランク定数が存在することで、次のような特徴が生まれます。
- 光子1個のエネルギーが周波数に比例して決まります。
- 光子の数は整数でしか存在せず、エネルギーも整数倍になります。
- 高周波ほど「量子の段差」が大きく、低周波では段差が小さくなります。
- 私たちが普段見ている世界では段差が小さいため連続に見えますが、原子レベルではこの段差が支配的になります。
プランク定数は、光や物質がどのようにエネルギーを持つのか、その“粒度”を決める定数といえます。量子の世界の基本的なリズムを作っている存在とも言えます。


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